ナラ(楢)の木、と聞くと皆さんは何を思い浮かべますか?
家具に使われているナラは、ミズナラであることが多く、造園の仕事をしていてよく出会うナラは、コナラであることがほとんどと言っても過言ではありません。
今日は、ミズナラとコナラについて少し考えました。
ザックリとしたイメージは、ミズナラは冷温帯の山林に自生していて、北海道産のミズナラは特にブランド的な存在で、家具や酒造りの樽に使用。
コナラは、私たちの生活に近い里山に自生していて、薪やシイタケの原木に使用といった感じでしょうか。
それぞれの近似種
ミズナラの近似種として、ミヤマナラとモンゴリナラがあります。
ミズナラは冷温帯を好むようですが、ミズナラの変種である深山楢も名前の由来は、深山に生えるミズナラのなかまというところからきています。北陸地方から東北地方の日本海側の多雪地帯にのみ分布しています。
ちょっと変わっているなと感じるところは、樹高が1~3mほどなのですが、これで成木で、幹が地面をはうように伸び、雪の下に潜り込んでしまい、春になると起き上がるそうです。
モンゴリナラは、愛知県や岐阜県では、おもに赤土や蛇紋岩が露出するやせ地のよく日の当たるところに生育し、朝鮮半島、中国、ロシア沿海州などに分布する種類と同じだと推測されますが、まだ分類的にわからないことの多い植物なんだそうです。
ここで、思い起こすことがあるのですが、家具の仕事をしている時、道産材ではなく、中国、ロシアからのナラを使用したことがあります。あれは、ミズナラではなく、正確にはモンゴリナラだったんだな?と思います。一般の方にはちょっと見分けがつかないと思うのですが、日々触れて見ている者にとっては、明らかに質感や風合いが違うんです。
どの様に違うか?というと、お肉で言ったら、サーロイン(ミズナラ)とスネ肉(モンゴリナラ)のような感じと表現させてください。モンゴリナラの石っぽさを感じたのは、土からきているのでは?とあの時感じましたが、生育状況を鑑みると大きく外れていない気がします。
コナラは、ミズナラほど葉やドングリ、幹も大きくならないことから大楢(ミズナラ)に対して、小楢と名づけられました。
また、材質はミズナラより硬く、乾燥で割れやすかったり、狂いやすくもあるため、家具などの加工にはむかなかったのです。
ちなみに、北海道では「イシナラ」と呼ばれているそうですが??…それは、私が北海道で中国、ロシア材に触れた時の感覚に近い表現ですね、土は関係なかったのかしら。
要は、環孔材は成長が速いほど固く重くやや狂いやすくなる性質があり、ミズナラよりコナラの方が成長は早いということです。
そんなコナラの変種としてテリハコナラ(照葉小楢)があります。分布もコナラとほぼ同じで、葉やドングリは、コナラより更にひとまわり小さいことが多いようです。葉っぱに光沢があり、葉脈がはっきりしないほど葉の厚みがあるのが特徴。
まとめ
ミズナラとコナラの変種を辿ることでよりそれぞれの特徴がはっきりしてくるかと調べを進めていきました。この違いから森の成り立ちに発展していく種になるかも知れません。
次なるテーマはコナラとクヌギについて。