コナラとキンラン

数年前、里山の手入れをしていたところ、キンラン、ギンランと出会いました。

市民の森

横浜市には〇〇市民の森と呼ばれる森が47か所、550haあるそうです。

パッとイメージできません。よくある東京ドームに換算してみましょう。

東京ドームは4.7haなので、ほぼ117個分の計算になります。

分かったような分からないような…。

その他にも〇〇の森、○○の森公園など数々あります。

静岡出身の私としては、うらやましいい限りです。

田舎の方が緑がいっぱいと思いきや、そうではありません。

確かに緑はいっぱいかもしれませんが、街中の緑に対する力の入れようというか、予算の格差を感じざるをえません。

まさか横浜の普通な住宅街で、当たり前のように鶯の鳴き声を聞けるとは思いもよりませんでしたもの。(西区辺りではムリかもしれませんが)

コナラの群生地

現在コナラの群生地となっている森や公園はかつて里山の二次林であったことが考えられます。

薪や炭に適しているコナラやクヌギは10年~30年ごとに伐採され、程よく人の手が入り管理されていました。これが放置されるようになると、木が大きくなり、日も入りづらくなり、だんだん広葉常緑樹と笹に覆われて、暗くなってきます。

ある程度人の手の入った雑木林というのは明るく、生き物も多い活気ある林のようですね。

そんな名残のある雑木林の公園に入ったとき、注意事項として、キンラン、ギンラン、を傷つけてはならぬ!という強い御達しがありました。

コナラの強剪定を行ったのですが、剪定した枝でランを傷つけてはならぬ!ということなのです。

ちょうどその時期、ラン達は芽吹き出していましたので、カラーコーンを被せて養生しました。

なぜキンラン・ギンラン?

その時一緒に仕事をしたおじさまが、「キンランって難しいんだよね、一度自宅で育てたことがあるんだけど、数年たつと絶えてしまうんだ」と話されているのを聞き、検索熊の肉球に力が入りました。

それはいったいどうしたことなのか?

以前、きれいな川の近くにお住まいのおじ様が、ツリブネ草を自宅の庭に植えたのだけど、年々少しづつ移動して、川に帰って行ってしまった。というお話を思い出してしまいました。(どんだけおじさんとお話するの好きなんだ!とツッコミが入りそうです&大きく話がそれました(^^;)

なんの因果か?おじ様、簡単に粗相をするような方ではないのです、何が原因なのか?

答えは、コナラの群生地というところがヒントなのです。

植物と菌根菌の共生関係

菌根菌と植物の話をしようとすると深く広くなってきてしまいそうです。

樹木の根には外菌根を形成する菌種がいます。

例えば、アカマツにマツタケの菌根菌が共生しているように、

コナラには、イボタケ科、ベニタケ科などの菌種が共生関係にあり、外菌根菌は糖などの炭素源を樹木から得て、窒素やリンなどのミネラルを樹木へ与えるという共生関係にあります。

ランの種類は28,000種以上あるとされていて、ラン菌根と呼ばれる固有の菌根共生系を持っていますが、その形も様々なため、ここではキンランの場合に限定すると、

前述のコナラと菌種の共生系にキンランが入り込み養分を得る構図に地中ではなっているよるです。地上では全く因果が見えません(*’▽’)

キンランは菌類から糖分、窒素など様々な栄養源を依存していて、三者共存関係にあり、そのような事からキンランを単独で持ち帰り大切に育てたとしても、すぐに枯死してしまうわけではないのだけど、やはり5年程経つと栄養源が無いわけなので、枯死せざるを得ない状態になってしまうという結果に。

そんなこんなで、菌の世界も奥深いことがわかりますし、根の話も、ランの話も、共生の話も…。

切り口はたくさんありますね(^^;